第4話 whatever
2042年7月23日
今日は人が持ち運べるサイズに解体された車のパーツだ
世界変換後に起きた暴動の時に発電所内の人々は逃げた
運転を管理する者がいない原子力発電所は必然的に
冷却機能が停止し、そのまま核分裂が行われ続けメルトダウンが起き
「レイナン」のほぼ全域が汚染区域となった
そのおかげで、あらゆるものが汚染され
今僕は車のパーツを運ぶ羽目になっている
「運ぶ」といっても防護服を着て手でトラックの荷台に乗せ
処分施設「マオバ」に運び巨大なピットに投げ入れる
詳しく知らないが、高い給料の「ランクE」の複数人が能力を掛け合わせ
処理することができるらしい。
この町では5000人がいろいろな作業をしているが
処理が完了するまで、あと10年かかるらしい
処理後は町の再開発、それには全行程25年
「ランクG」の僕は再開発中も肉体労働だろう
35年後に何をしようか今のうちに考えておくべきか
明日死ぬべきか、今日もそんなことを考えながら
「レイナン」のセーフゾーンにある家に帰るため
トラックに乗り込んだ。
トラックの揺れに身体を任せて西日に目を細め
「OASIS」を流す。
「~I'm free to be whatever I
Whatever I choose
And I'll sing the blues バッ―― 」
ワンフレーズを聴く前に目の前が見えなくなるほどの光と
爆音、とてつもない衝撃に襲われた
そのままの勢いに僕はフロントガラスを
突き破ってアスファルトにたたきつけられた。
状況が全く分からないまま
数秒間うずくまった後
身体のあらゆるところに走る激痛を我慢して
頭だけ挙げて周りを見渡すと誰かが
近づいてきて僕にしゃべりかけた
近づいてきて僕にしゃべりかけた
「ごめんな間に合わへんかった、まぁ生きててよかったやん
この町と君を守りに来たんや」
色々と把握できない中
関西弁の主張すごいな、そのインパクトだけ記憶して
気を失った。
【小説ページ】